平成20年度調査研究の概要

補助事業番号 20-136
平成20年度機械工業における国際経済交流推進補助事業
補助事業者名 財団法人 国際経済交流財団

1.補助事業の概要(1)事業の目的ア.実施した事業の背景と現状認識
世界経済は、これまで、経済のグローバル化のなかで、世界的な資源配分の効率化と生産性の上昇による急速な経済成長が続いてきたが、近年、サブプライム住宅ローン問題による金融不安が米欧等の実体経済に波及する懸念、及び中国・インド等の成長を背景に資源・食糧価格が高騰しインフレ圧力の顕在化のリスクが生じてきている。また、これらのリスクは、先進国及び新興国の成長率の同時低下という世界経済の一体化と同時に、新興国の相対的に高い成長率が示しているように先進国のみが主導する成長から新興国も含めた多極的な成長への変化をも象徴している。このように世界経済が大きな転機を迎えているなかで、我が国は、少子高齢化が進み人口減少による経済への影響が懸念されるとともに、地球規模の課題である環境問題への取組みをせまられているところである。このため、流動する国際環境を鋭敏に捉え、貿易・投資等の国際的な経済活動の拡大を戦略的に進めていく新たな発展戦略の構築が益々重要となっている。

このような我が国機械工業を取り巻く国際環境の中で、貿易・投資を初めとする国際的な経済活動の拡大を戦略的に進めることが重要となっており、特に、アジアを中心とした経済連携の強化・促進のための事業は我が国機械工業の国際競争力の維持のために喫緊の課題である。

イ.取り組むべき課題、必要性、意義、期待される効果等
(i)経済関係国際交流事業
国際経済環境が激変する中で、我が国産業が今後さらに国際競争力を強化し、グローバル化に対応していくためには、諸外国との産、官、学等を含めた国際的な協力関係の強化がますます必要となっている。また、FTAなど今後アジア諸国等との経済連携を推進、強化していくことは我が国及び我が国産業界にとって喫緊の課題となっている。 本事業の実施によって、相互理解が促進されることで相互協力の必要性が認識され、政策が実現されることで、貿易、投資の拡大が期待される。特に、今後政府間での経済連携の動きがさらに進展していくことが期待される。
本事業の実施によって、相互理解が促進されることで相互協力の必要性が認識され、政策が実現されることで、貿易、投資の拡大が期待される。特に、今後政府間での経済連携の動きがさらに進展していくことが期待される。

(ii)日本産業貿易等の海外広報
日本の産業や貿易に関する政策・制度面の紹介や経済動向の紹介のみならず、背景となる我が国の社会、歴史、文化等も含めた紹介を行うことにより、より正確で質の高い対日理解を深めさせていくことが必要である。また、米国や欧州のみならず、アジア地域をも視野に入れた全世界への展開が必要となっている。一方、このような英文による対外広報は、日刊英字新聞を除けば、その種類・発行部数とも非常に少ないのが現状である。

こうした広報事業は、正確な情報をもとに客観的・公平的な判断に基づいた論評が非常に重要であり、そのため営利を目的としない公益の法人が主体的に実施していくことが非常に大切である。
本事業の実施により、正確で質の高い日本情報が紹介されることになり、米欧のみならず、アジア地域においても対日理解が一層促進していくことが期待される。

(iii)国際経済関係の調査研究
我が国産業界が国際競争力を維持し、今後さらにグローバルに展開していくためには、国際経済環境の変化や産業、技術動向の変化に柔軟に対応していくことが必要である。このため、主要国における通商・経済政策動向や技術開発動向等について幅広く調査・分析し、その成果を産業界のみならず政策当局へ情報提供や提言として裨益させることが重要である。
本事業の実施により、産業界や個別企業の海外市場戦略策定や国際競争力の強化、あるいは政策当局における通商政策、経済政策等の立案時の基礎資料として一層貢献することが期待される。

(2)実施内容等ア.経済関係国際交流事業
(ア)平成20年10月30日~31日、マレーシアのInstitute of Strategic and International Studies(ISIS)と協力して、日・アジア太平洋フォーラムをクアラルンプールにおいて開催。東アジア地域におけるFTAについての相互理解を深め、関係各国有識者の相互交流を通して同地域の発展に寄与することを目的とし、東アジアワイドFTAの創設について意見交換を行った。東アジアワイドFTAについての様々な構想に対し率直かつ示唆に富んだ議論が展開され、実りある情報交換の場となり、更なる相互理解に大変役立った。

(イ)平成20年12月9日、米国の Dewey & LeBoeuf LLPと協力して、日米フォーラムを米国ワシントンDCにおいて開催。日米で指導的役割を果たしている有識者が共通の課題に関し相互理解とその対応について模索することを目的としており、本年は、米国の新政権の発足に際し、日米関係の一層の強化のため、共同でアクションアジェンダを取りまとめ、日米双方で、両国政府に提言の働きかけを行った。これにより、日米関係強化のために共同して目指す政治、経済関係等の方向がより明確となり、更なる日米関係の強化に繋がった。

(ウ)平成21年3月4日、英国の王立国際問題研究所と協力して、日欧フォーラムを英国ロンドンにおいて開催。日欧有識者との自由・率直な意見交換により、21世紀における日欧協力の在り方を模索し、より強固な日欧関係の構築を目的として、本年は、金融危機後の国際金融センターの将来展望について意見交換を行った。時宜を得たテーマで率直かつ活発で有益な議論が行われ、日欧の共通認識の醸成に役立った。

イ.日本産業貿易等の海外広報
我が国の経済、産業、政治の動向や社会・文化的側面を幅広く紹介し、世界の人々に対しバランスの取れた対日理解を深める手段として、英文情報誌を隔月で年6回発行し、欧米アジア諸国のオピニオン・リーダー等に配布した。20年度においては、日本的経営、通商白書、デジタル・エコノミー(情報家電)、成長するアジアのプラス・サムゲーム、エネルギーと環境、グローバルエイジングの特集を行った。

ウ.国際経済関係の調査研究
我が国産業界が国際経済環境の激しい変化や産業、技術動向の変化に対応していくためには、諸外国における経済状況・政策動向や技術開発動向等様々な最新の動向を調査・分析し、これを産業界に広く裨益するとともに、政策当局への情報提供や提言として検討に供することが重要であり、そのため以下のテーマについて調査研究を行った。

(調査項目の下の「概要」をクリックすると報告書の概要、また「報告書」をクリックすると報告書を見ることが出来ます。)

新米国政権下の新たな日米関係の構築に関する調査研究を実施
概要 報告書

①欧米諸国等調査研究費
(i) 今後の投資協定締結候補国に関する調査研究を実施。
概要 報告書
(ii) 企業内格差問題及び社会的な格差問題の解決に資するCSR戦略に関する調査研究を実施。
概要 報告書
(iii) 消費生活用製品の製品安全に係る欧州のおけるリスクアセスメントに関する調査研究を実施。
概要 報告書
(iv) 国際租税制度に関する調査研究を実施。
概要 報告書
(v) ブラジル、メキシコ等中南米鉄鋼業の動向に関する調査研究を実施。
概要 報告書
(vi) 日EU・EIA(Economic Integration Agreement)に関する調査研究を実施。
概要 報告書
(vii) 資本移動と我が国産業競争力に関する調査研究を実施。
概要 報告書
(viii) 我が国産業の国際競争力と通商政策の役割に関する調査研究を実施。
概要 報告書
(ix) 低炭素時代の我が国産業の国際競争力維持に関する調査研究を実施。
概要 報告書
(x) アンデス地域の経済連携動向から見た日本の経済連携戦略に関する調査研究を実施。
概要 報告書

②アジア諸国等調査研究費
(i) 中国自動車産業の競争力に関する調査研究を実施。
概要 報告書
(ii) 中国自動車部品企業の省エネルギー推進に向けた実態調査に係る調査研究を実施。
概要 報告書
(iii) タイ国におけるCDMプロジェクトに関する調査研究を実施。
概要 報告書
(iv) 我が国が締結したEPAの効果と課題に関する調査研究を実施。
概要 報告書
(v) 中東・中央アジア等の鉄鋼業に関する調査研究を実施。
概要 報告書
(vi) 我が国省エネ・環境対策関連プラント産業の貿易・投資分野の協力推進調査研究を実施。
概要 報告書
(vii) CDM(クリーン開発メカニズム)の活用による我が国省エネ技術の中央アジア資源保有国への移転に伴う貿易・投資促進調査研究を実施。
概要 報告書
(viii) EPA/FTAの進展と我が国企業の海外事業展開に関する調査研究を実施。
概要 報告書
(ix) 資源エネルギー、食料、水資源の安定供給に関する調査研究を実施。
概要 報告書
(x) 今後の環境・エネルギー制約の改善を図るための海外プラント市場拡大に向けた調査研究を実施。
概要 報告書
(xi) 東アジア地域等における鉄源開発に関する調査研究を実施。
概要 報告書

(xii) 米国の対中政策の動向を踏まえた中国の社会経済情勢に関する調査研究を実施。中国に関し8の主要リスクについて、2013年までの期間における発生確率を次のとおり検討した。  

リスク ケース 確率 インパクト 評価
1.官僚の無為無策 急速な回復 不定 2013 年まで指導者は、様々な要素の官僚の無為無策の対処に追われ続けるであろう。短期的な経済政策の停滞のために、政府の国内経済回復措置に危機5が及ぶ可能性があるが、最悪の不況を一旦克服できれば、そうしたリスクの確率はそれほど高くない。
不況の長期化 不定 回復に手間取れば、2013 年までリスク の可能性が高いまま推移することにな る。また指導者層のリスクの可能性も 高まる。
2.経済ナショナリズム 急速な回復 不定 リスクは2010 年まで高まるが、2013年までには安定する。産業分野別の保護主義措置が実施される可能性が高い。
不況の長期化 深刻 2013 年までリスクが高まり続け、国内権益保護のためにより包括的な保護主 義措置が実施され、海外権益が損なわれる。
3.米中貿易摩擦 急速な回復 不定 2010 年までに経済が回復すれば、米中の貿易関係が現在の状態から大きく変化することはないであろう。
不況の長期化 中から高 不定 不況が長引けば、両国はより徹底的な措置を講じ、財の流れを大幅に阻害す る恐れのある「近隣窮乏化」政策を実施する可能性がある。
4.社会不安 急速な回復 不定 2010 年まで散発的に社会不安が高まるだろうが、政府は大きな不安定性を抑えることができる。
不況の長期化 中から高 不定 不況が長引けば深刻な社会不安のリスクが2013 年まで高まるが、政治体制を根本的に覆すような事態になる可能性は依然、低い。ただし社会不安は、連鎖的危機の一部になり得るものであり、かかる連鎖においては、指導者層の危機など他のリスクと並列的に発生することでリスクの可能性が高まる。
5.環境/健康危機 急速な回復 深刻 中国政府はむやみに成長を追求する余り、環境問題をないがしろにしている。そのため環境リスクの確率は2010 年まで上昇するが、2013 年までには景気回復に伴い低下するであろう。
不況の長期化 深刻 依然、確率は中程度だが、2010 年以降も厳しい経済状況が続けば、政府が環境を犠牲にしても全力で経済成長を追求するようになるため、リスクがさらに高まるであろう。
6.中国指導者層の危機 急速な回復 低から中 深刻 2010 年までに比較的健全な経済成長率を回復できれば、2012 年から13 年にかけての政権移行期に確率が中程度までわずかに上昇する程度であろう。
不況の長期化 低から中 深刻 現在の経済状況が続けば、リスクの確率が直ぐに中程度まで上昇する。経済管理を巡る意見の対立が上層部に深刻な政治的亀裂を生じさせ、政権移行に向かって政情が不安定になる可能性もある。またこれが引き金となって、他の危機の可能性を高める連鎖的危機が発生する恐れもある。
7.米中の戦略的意見の相違 急速な回復 小規模な意見対立は見られるであろうが、この世界不況の中で米中両国は意外なほど類似した政策目標を掲げているため、米中の意見が戦略的に対立することはまずないであろう。
不況の長期化 中国の潜在的な孤立主義の高まりと米国経済の長期的低迷のために、2013 年までに両国の政策目標の食い違いがより顕著になる可能性がある。
8.中国に起因する国際危機 急速な回復 深刻 中台関係の緊張緩和に伴い、リスクは低下したが、特に2012 年の台湾の総統選挙の前後に、台湾の政情が変化し、再び緊張が高まる可能性がある。
不況の長期化 深刻 評価は従来通りである。

本調査研究の成果は、中国との関係を有する我が国機械産業界に裨益されるのみ ならず、我が国政策当局における諸施策策定上の基礎資料として活用されることが 期待される。

③国際共同研究
(i) 米国の国防予算、防衛産業の動向等に関する調査研究を実施。以下のテーマについて調査研究を実施。
以下のテーマについて調査研究を実施。
 ・米国防衛予算
 ・米国ミサイル防衛計画
 ・米国防衛産業
 ・米軍政策
 ・米国輸出管理政策
 ・米国の対北朝鮮政策
 ・米国の対イラン政策
 ・米国の対中国政策
 ・米国の対インド政策

本調査研究の成果は、我が国機械産業界に裨益されるのみならず、我が国政策当局における諸施策策定上の基礎資料として活用されることが期待される。

(ii) 韓国政治経済情勢等に関する調査研究を実施。
韓国の新政権における経済・通商政策、特にFTA政策を検討した。
1)韓国のFTA政策における決定構図
FTAに関する韓国政府公式の推進機関は「FTA推進委員会」であり、ここで審議を経た事案は最高議決機構である「対外経済長官会議」で決定する。「通商交渉本部」が大統領の強い支持をもとにFTA推進委員会を中心に迅速なFTA政策を推進している。

2)日韓FTAの交渉再開に対する韓国政府及び各界の立場
・政府内には日韓FTA交渉再開のための本格的な動きは出ていない。韓日両国がFTA協定の締結によって享受できる利益がある程度同等な水準を保つ必要があるという前提条件が充たされれば、交渉を再開できるだろうとの非常に慎重な立場。当分の間は積極的に再開に向けた政策を採る可能性は低い。
・財界の立場、産業界 日韓FTAに対し全般的な不安感。

3)日韓FTAの交渉再開のための日本に対する政策提言
・日本側は農業市場開放の強い意志を表明すべき。
・日本市場の非関税障壁問題の議論の受け入れ。
・開城工業団地の生産品を韓国製として認める。
・直接的な利害を持つ財界や両国の経済協力機関等の日韓FTAの必要性と至急性に関する議論を活性化。
学界・専門研究者が日韓FTAの経済的利害得失を客観的に分析し、国内の理解を広めることが必要。
日韓議員連盟など政治家の対話を通じて共感帯を形成していく努力が必要。
・雰囲気醸成に関連して、貿易・非貿易部門で中長期的にEarly Harvestを考慮するのも一案。

4)日韓FTA推進及び妥結のための日本政府の対応
日韓両国政府の推進に関する意志が大事。交渉再開の準備として、友好的な世論作りや多角的な広報活動が必要。
日韓議員連盟など、両国の政治家の交流チャネルを通じ改めて日韓FTAに関する関心を高める一方、学界・産業界から交渉再開を求める多様な声が広がり、それが指示されるよう支援していくことを検討する必要がある。

本調査研究により、我が国産業界及び政策当局がFTA戦略、韓国市場戦略を検討する際の基礎資料として活用されることが期待される。

(iii) 日米間の防衛技術交流に関する調査研究を実施。
日米技術フォーラムを開催し、討議が行われた。
1)防衛政策―輸出管理政策
2)予算及び産業の動向
3)ケーススタディ
4)中小企業戦略
5)次世代技術 等
本調査研究が、我が国産業界及び政策当局の防衛政策の策定における基礎資料として活用されることが期待される。

(iv) 米国の東アジア地域における通商政策に関する調査研究を実施。
・オバマ大統領は、政府と市民の関わり方および米国政府と世界の他地域との関係の「変容」を綱領に掲げ、大統領に選出された。オバマ大統領は、明確な国内目標を掲げるとともに、米国経済はイノベーションと富を生み出す強力な原動力ではあるが、教育、気候変化、エネルギー、医療に適切に配慮してこなかったという個人的意見を抱いて、大統領に就任した。
またオバマ大統領は、米国経済の「グローバル化」は利益をもたらしたが、「国内」で雇用と工業生産の拡大を確保するためには、管理を強化する必要があると考えている。

・こうした背景の中で、オバマ大統領は、国内経済を安定させ、再活性化させるだけでなく、教育、医療、気候変動政策およびエネルギー自給の根本的改善作業に着手するという、野心的なアジェンダを作成した。大統領の最大の関心事は国内問題である。
米国と世界の他地域との関係については、すべての国とより実践的な関係を結びたいと考えているが、世界経済回復の最優先課題は米国経済を再び活性化することだというのが、大統領の信念である。金融市場の規制や新貿易協定などの国際的な課題の推進は、大統領のこうした姿勢から見て明らかに二次的重要性しか持たない。

・国際関係に関しては、オバマ政権とブッシュ政権の重大な違いのひとつに貿易政策がある。ブッシュ政権が貿易の自由化と「自由貿易」を信奉していたのに対して、オバマ政権は、現時点でのさらなる貿易自由化には懐疑的であり、「公正貿易」を信奉している。オバマ大統領は選挙中に労働組合の政治的支持を得ており、自由貿易協定の拡大に対して懐疑的またはそれに反対する労組の綱領に共感しているようだ。これは少なくとも当面、ドーハ・ラウンド終結に向けた努力を再開する意向が直ぐに示されることはなく、新FTA の締結が追求されることもないことを意味する。オバマ大統領は税法を改定して、米国企業による国内雇用および事業活動の海外への「アウトソーシング」を抑制し、米国企業が海外で行う活動の米国への復帰を促したいと考えている。これは、「不公正貿易慣行」の是正措置やその他の形式の「保護主義」措置がより多用されることを意味する。このようにオバマ政権のアジェンダでは、貿易政策の優先順位は低く、また連邦議会も貿易交渉の「中断」を期待している。

・オバマ政権は、極東との関係をまだ慎重に考慮していない。また、オバマ政権は、日米関係の性質をまだ真剣に検討していない。ブッシュ政権時と同様に日本は同盟国と見られているのに対して、中国は、重要な経済パートナーではあるが、軍事および安全保障面では潜在的敵国と見なされている。

・米国の新極東政策がどの程度の可能性を持っているかもまだ不明である。大統領は国内問題で頭がいっぱいだ。大統領は貿易自由化には懐疑的であり、議会ともども、新FTA やその他の貿易協定の検討に前向きとはいえない。したがって米国と極東地域との関係が強化されるかどうかは、日本を初めとする極東諸国の今後の出方に掛かっている。本調査研究により、我が国産業界及び政策当局が対米戦略を検討する際の基礎資料として活用されることが期待される。

(v) 世界的経済課題に対する米国経済政策に関する調査研究を実施。
以下の詳細テーマについて調査研究を実施。
・米国経済、米連邦準備制度理事会の動き、米国議会の動き、金融政策、雇用、住宅、社会保障、貿易問題、大統領選挙、中国政策 等本調査研究により、我が国産業界及び政策当局が対米戦略を検討する際の基礎資料として活用されることが期待される。

(vi) 韓国政治経済情勢Ⅱ-鉱工業界の現状に関する調査研究を実施。
・日韓FTAに関して、主に韓国の鉱工業界を対象に行った調査によれば、FTA推進における両国の利害関係は全般的に韓国にとって遥かに日本のほうが有利であろうというイメージが強い。特に、商品やサービス市場の開放を通じて韓国側は既存の対日貿易赤字がより拡大されることを懸念している。それゆえ、日韓FTAに対して否定的な先入観が反映されている。一部農産物分野で韓国の日本輸出拡大が予想されるものの全体の対日輸出に占める割合が非常に小さく、しかも同分野の譲許水準が期待に及ばないものであろうと判断しているため、現在のところ日韓FTAの否定的イメージが固着段階にあることが現状である。

・しかし、全経連などの一部の団体は、ミクロ的な観点からは日韓FTAで韓国が損害を被るとしてもマクロ的な側面では、海外へのマーケットアクセスの機会拡大を通じて、規模の経済と生産性向上の利点を享受することを期待できるものである。それゆえ、長期的には韓国産業の体質強化をもたらすであろうと展望している。

・短期的に日韓FTAの再開を期待することは難しいことと予想される。むしろ中長期的に実務的な調整の段階を経て、韓国と第3国とのFTA交渉の進展による韓国内のFTA推進状況の変化とともに、日本の開放拡大戦略への転換により実質的な日韓FTAが進展していくと考えられる。

本調査研究により、我が国産業界及び政策当局がFTA戦略、韓国市場戦略を検討する際の基礎資料として活用されることが期待される。

2.予想される事業実施効果(1)経済関係国際交流国際経済環境が激変する中で、我が国産業が今後さらに国際競争力を強化し、グローバル化に対応していくためには、諸外国との産、官、学等を含めた国際的な協力関係の強化がますます必要となっているa。また、FTAなど今後アジア諸国等との連携を推進、強化していくことは我が国産業界を含め我が国全体にとって喫緊の課題となっている。各フォーラム事業の実施によって、相互理解が促進されることで、認識の共有・相互協力の必要性が認識され、特に、今後政府間交渉が予定されている経済連携の動きが更に進展していくことが期待される。

(2)日本産業貿易等の海外広報本事業の実施により、米国をはじめ欧州アジア等を中心に、我が国経済・社会等に関する正確で質の高い情報を提供しており、今後一層バランスのとれた対日理解の促進が図られることが期待される。

(3)国際経済関係の調査研究我が国産業界が国際競争力を維持し、今後さらにグローバルに展開していくためには、国際経済環境の激しい変化や産業、技術動向の変化に柔軟に対応していくことが必要である。このため、主要国における通商・経済政策動向や技術開発動向等について幅広く調査・分析し、その成果を産業界のみならず、政策当局への情報提供や提言として裨益することが重要である。
本事業の実施により、産業界における海外市場戦略策定や国際競争力の強化、あるいは政策当局の通商政策、産業政策等の政策立案時の基礎資料として一層貢献することが期待される。

3.本事業により作成した印刷物等(1)経済関係国際交流(i) 平成20年度日・アジア太平洋フォーラム報告書
(ii) 平成20年度日米フォーラム(米国)報告書
(iii) 平成20年度日欧フォーラム(アラブ・マグレブ)報告書

(2)日本産業貿易等の海外広報英文情報誌「Economy, Culture & History JAPAN SPOTLIGHT Bimonthly」
5/6月号、7/8月号、9/10月号、11/12月号、1/2月号、3/4月号

(3)国際経済関係の調査研究・新しい日米関係を構築する検討会報告書
ア.欧米諸国等調査研究
(i) 今後の投資協定締結候補国に関する調査研究報告書
(ii) 企業内格差問題及び社会的な格差問題の解決に資するCSR戦略に関する調査研究報告書
(iii) 消費生活用製品の製品安全に係る欧州におけるリスクアセスメントに関する調査研究報告書
(iv) 国際租税制度に関する調査研究報告書
(v) ブラジル、メキシコ等中南米鉄鋼業の動向に関する調査研究報告書
(vi) 日EU・EIA(Economic Integration Agreement)に関する調査研究報告書
(vii) 資本移動と我が国産業競争力に関する調査研究報告書
(viii) 我が国産業の国際競争力と通商政策の役割に関する調査研究報告書
(ix) 低炭素時代の我が国産業の国際競争力維持に関する調査研究報告書
(x) アンデス地域の経済連携動向から見た日本の経済連携戦略に関する調査研究報告書

イ.アジア諸国等調査研究
(i) 中国自動車産業の競争力に関する調査研究報告書
(ii) 中国自動車部品企業の省エネルギー推進に向けた実態調査研究報告書
(iii) タイ国におけるCDMプロジェクトに関する調査研究報告書
(iv) 我が国が締結したEPAの効果と課題に関する調査研究報告書
(v) 中東・中央アジア等の鉄鋼業に関する調査研究報告書
(vi) 我が国省エネ・環境対策関連プラント産業の貿易・投資分野の協力推進調査研究報告書
(vii) CDM(クリーン開発メカニズム)の活用による我が国省エネ技術の中央アジア資源保有国への移転に伴う貿易・投資促進調査研究報告書
(viii) EPA/FTAの進展と我が国企業の海外事業展開に関する調査研究報告書
(ix) 資源エネルギー、食料、水資源の安定供給に関する調査研究報告書
(x) 今後の環境・エネルギー制約の改善を図るための海外プラント市場拡大に向けた調査研究報告書
(xi) 東アジア地域等における鉄源開発に関する調査研究報告書
(xii) 米国の対中政策の動向を踏まえた中国の社会経済情勢に関する調査研究報告書

ウ.国際共同研究
(i) 米国の国防予算、防衛産業の動向等に関する調査報告書
(ii) 韓国政治経済情勢等に関する調査研究報告書
(iii) 日米間の防衛技術交流に関する調査研究報告書
(iv) 米国の東アジア地域における通商政策に関する調査研究報告書
(v) 世界的経済課題に対する米国経済政策に関する調査研究報告書
(vi) 韓国政治経済情勢Ⅱ-鉱工業界の現状に関する調査研究報告書