2022年6月27日

会長挨拶

40周年を迎えて

40周年を迎えて会長 豊田正和
国際経済交流財団が設立されて以来、今年で40年を迎えました。本財団は、40年程前、日米摩擦や日欧摩擦が華やかなりし頃、日本の考え方や実態を正しく伝えるために、海外に発信していく機関として設立されました。諸外国とは、緊密になれば成る程、利害対立は起こるものです。交流と対話を通じて、無用な誤解を廃し、解決策を建設的に見出すことが重要であり、その一翼を担おうというものでした。

その後、1990年代の後半には、日本にとっての「摩擦の時代」は終わりましたが、多国間貿易システムを広げ、本格的に活用する「WTOの時代」が始まります。

こうした中で、日本はドーハラウンドの立ち上げにも大きな貢献を果たしました。当財団は、ルール志向の通商政策を普及すべく、日本の考え方を発信し続けました。2008年のWTO閣僚会議がドーハラウンドをまとめることが出来ずに終わり、「自由貿易協定・地域協定の時代」が到来します。ここでも、当財団は、多国間システムの重要な構成員として、CPTPP(アジア太平洋における経済連携協定)やRCEP(東アジア地域包括的経済連携)など地域協定の重要性を日本の声として発信を続けました。

そして今や、米中対立の深刻化、ウクライナ危機、ポピュリズムの高まり、気候変動対応としてのカーボン・ニュートラリティの実現、デジタライゼーションの加速化など、いわば「複合課題の時代」を迎えています。本財団は、これら複合課題についても複数の研究会を通じて日本の声を取りまとめ、発信を始めました。

以上から明らかなように、40年の歴史を見ると、日本にとっての国際経済問題は大きく変遷を見せています。当財団は、夫々の時代に応じた日本からのメッセージを発信し続けており、今後もそうしていくつもりです。

発信の手段としては、米国、英国、フランス、ドイツやアジア太平洋の主要国のシンクタンク・大学と協力して、これらの国の有識者と日本の有識者とが意見交換するフォーラム事業、40年の歴史を持つ広報誌であるジャパン・スポットライトの提供、その他ホームページを通じ様々な発信をしています。

「複合課題の時代」がどのくらい続くのか、課題が次から次へと増えていくのか、分かりません。当財団は、どのような時代が来ようとも、日本の考え方を発信し続けて参ります。

40年の長きにわたり当財団が活動を続けることができたのは、日本政府はもちろん、学界、財界、政界の有識者のご支援があったからこそであり、心より感謝を申し上げます。

最後になりますが、初代会長を務められた池田芳蔵氏を始め、歴代会長のリーダーシップに対し心より御礼を申し上げ、関係者の皆様のますますのご活躍、ご発展を祈念して、ご挨拶と致します。

国際経済交流財団の歴史